CLOUDSTREET特別企画

『テッペンとったる!!2010年夏』
― 富士登山記録 ―

Paragliderの話ではないので、興味の無い方はスルーしてくだされ!

プロローグ…
4〜5年前から、漠然と富士登山してみたいと思っていました。
しかし、40歳を過ぎ、気力・体力は益々衰えて行くばかり、今の体力での富士登山はかなり難しそう!?
というか、これも必然的にと半分諦めていた感じ。
それほど体力を必要としないParagliderというスポーツでさえ、集中力が持続しない事も自覚してきていたのです。

体力はあればあるほど、積極的にもなれるし、スポーツにしても本格的に、楽しめるようになるわけです。
バリアフリーなローカルルールを設けて、誰でも参加できるようなスポーツも悪くはないですが、
やはり、醍醐味が異なります。

体重は増えすぎ、体力は落ちきる。もうどうにもなりません。室内でゴロゴロしているのが一番楽!
という状態を打破すべく、ランニング(ジョギング)を開始。
しかし、簡単に身体は言う事を聞いてくれません。最初は2kmも走れませんでした。
でも、これがまぎれもなく自分の身体。気長に付き合って行くしかない訳です。

途中、花粉症の季節を除き、半年も経つと、少し体重は減ってきて、
ゆっくりではあるものの、長い距離を走れるようになってきました。
勿論まだまだ筋骨隆々とは行かず、相変わらずおなかは、引っ込みませんが、
以前より体力は回復、今なら行けるかも!?…と思い立ったわけです。

準備
ここ数年の富士登山ブーム、最近は年間30万人もの人が登山するそうです。
なので、Web上にも沢山の情報が転がっています。
「富士登山」の検索で引っかかったページを読み漁り、
尚且つ、自分に良さそうなガイドブックを2冊買ってきて、必要な情報をピックアップ。

5歳の子供でも登頂できる富士山、しかし一歩間違うと簡単に遭難してしまう侮れない山。
なにせ、日本一の山ですから!

計画
富士登山にあたって、やりたいことは沢山あります。
夜間登山し、降ってくるほどの星を見て見たい。
頂上でのご来光は勿論。
お鉢めぐりし、富士山頂郵便局からハガキを投函する。
剣が峰、標高3776mの碑の脇から「テッペン、取ったどー」と叫ぶ、などなど。
…かなり、ミーハーでしょ!?

ガイドブックによると、吉田口ルートを昼に登りはじめ、山小屋で仮眠。
途中でご来光を眺め、登頂。そのまま降りてくるという行程が、
最もポピュラーで、リスクを伴わない登り方らしい。

ではどうするか?
計画を立てた日程は、富士スバルラインはマイカー規制期間中。
車を麓に置いて、バスがピストン輸送してくれるらしい。
勿論、その方法でも良かったのですが、5合目でゆっくり高度順応したいと思っていました。

出来れば車の中で昼寝して、高度順応と共に体力温存したいと考えました。
調べてみると、富士あざみラインは、8日の午後からマイカー規制が解除されると言うので、
須走ルートで、登頂を目指す事に決定。

山小屋の予約を確認したところ、既にいっぱいでもう予約できないとの事。
なので仮眠せず、休み休みゆっくり登る作戦にしました。

そして、こんな計画を立ててみました。

         
2010夏 富士山登山計画日程
         

 1日目 

 88日 

 (日) 

6:00 つくば出発
        食料買出し
       12:00 富士あざみラインマイカー規制解除
      13:00 1980m須走新五合目にて高度順応開始
        駐車場にて夕飯
        仮眠
     

18:00

須走口新五合目古御岳神社参拝
      19:00 須走ルートにて登頂開始
        新六合目
        六合目
        新七合目
        本七合目
        八合目
        本八合目(吉田ルートと合流渋滞が予測される)
        九合目
         

2日目

8月9日

(月)

4:00 登頂 3715mにてご来光
      5:00 久須志神社参拝
        お鉢めぐり開始(時計回り) 約3.5km 2時間
        富士山頂郵便局 登山証明 ハガキ投函!?
        富士山本宮浅間大社奥宮参拝
        馬の背〜3776m剣が峰
         
      10:00 須走ルートにて下山開始
        新七合目 須走
      15:00 須走口新五合目古御岳神社参拝
         
        温泉
        夕飯
         
        1、テントにて就寝
        2、道の駅にて車中泊
        3、宿泊施設にて泊
         

装備
きっと今回の登山にしか使わないものも少なくありません。
買い物は必要最小限にし、極力出費を抑える。
…これがコンセプトの一つです。

装備はこんな感じ…

 登山靴  いつもパラで使っているもの
 バックパック  25gザック
 靴下  替えの靴下
 速乾性のシャツ  長袖・半袖、替え
 機能性タイツ  いつもランニングで使っているもの
 ウィンドブレーカー  いつもパラで使っているもの
 ダンウウジャケット  いつもパラで使っているもの
 フリース  いつもパラで使っているもの
 帽子  いつもパラで使っているもの
 ヘッドランプ  100円ショップで、500円にて購入
 ストック  ダブルストック新規購入
 予備電池  
 手袋  いつもパラで使っているもの
 給水パック  水筒です。2g。いつもパラで使っているもの
 レインウェアー  上下
 ザックカバー  新規購入
 タオル  フェイスタオル
 バンダナ  頭や首に巻けるし汗も拭ける
 マスク  花粉症対策で購入、須走りで使用予定
 スパッツ  須走下山時に砂が靴に入りにくいようにします 新規購入
 ティッシュ  
 ウェットティッシュ  手や顔を拭くため
 ファーストエイド  傷テープやテーピング
 常備薬  胃腸薬、鎮静剤
 常備食  シリアルバー ゼリー飲料 塩飴 チョコレート
 小銭  トイレはほとんど有料
 デジカメ  いつもパラで使っているもの
 サングラス  いつもパラで使っているもの
 ゴミ袋  富士山に捨てていいゴミはありません
 財布  
 健康保険証  
 携帯電話  
 酸素カン  半信半疑で1本500円弱で購入

買い足した主なものは、ストック、ザックカバー、スパッツぐらいなもの!?

ストックは、安いものにしようと思ったけれど、実際にアウトドアショップに見に行くと、
収納した時の長さや、カーボン製の超軽量なものなど重量もさまざま、
特に伸ばした時の重心によってかなり使い勝手は違うようです。
結局アルミ製の2本で約9千円の物を購入。

スパッツは、購入するのを止めようと思ったけれど、
“富士山コンシェル”のバッジをつけたショップのお姉さんが、須走りに行くのなら、
絶対にあったほうがいいと言うので、半ば仕方なく購入。

ザックカバーは全く持っていなかったので最初から購入予定だったわけです。

いよいよ出発
3日前に雨予報だった天気予報も曇り時々晴れと言う予報に変わり、いよいよ出発です。
中央道は25kmの渋滞、昨日の土曜日の半分くらいでしょうか!?
渋滞しているものの、ほとんど止まることはなくダラダラと前進しています。

ダラダラと中央度を進む マイカー規制解除待ちの車の列

しかし、早めに出発した為か、マイカー規制解除待ち5台目に並ぶ事ができました。
予定通り良い感じです。

マイカー規制中はここに車を置きシャトルバスで五合目まで上がります

正午ちょうど、マイカー規制が解除され、並んでいたマイカーがいっせいに動き出します。
そのまま富士あざみラインを登り、2000m五合目へ到着。

五合目には山小屋が2軒あり、そこで、昼ごはんです。
その後は車の後ろで2時間前後昼寝。雲がかかり、時々しか富士山は顔を出しません。ちょっとご機嫌斜めの様です。

こんな格好で
スタート
夕飯のうどん 五合目
まだまだ元気

夕方、もう一軒の山小屋で、うどんを早い夕飯にし、18:00頃、霧の中いよいよ出発。
登山道入り口に古御岳神社に参拝し登山道に突入。

出発
須走ルートは唯一前半樹林帯の中を歩いて行きます。
高山植物など変化にとんだ風景が楽しめます。

この時間帯の登山者は、思ったほど多くはありませんでしたが、
次々に登山客は居て、決して不安になる事はありませんでした。

30分ほど歩き、ストレッチ。周囲が暗くなってきたので、ヘッドランプに灯を点します。
夜間登山も意外と快適。
探検みたいで、子供心に火が付きます。
ストックの先についているゴムキャップを外し、山道に対応します。

休み休みではあるものの、仮眠など入れずに頂上を目指します。
決してペースを上げることなく、
長時間歩く事を想定し同じペースで暗闇の中を突き進むのです。

六合目
出発してから、ちょうど2時間、20:00頃六合目に到着。標高2400m。
コツコツ歩くしかないのです。本当にそれしかない事に気付きます。

六合目 新六合目

新六合目
六合目の次は、新六合目、標高2700m。20:58到着。
「新」や「本」が付き、なかなか進まない印象を受けるよと、
富士登山経験者から聞いていたので、焦ることなく標高を上げてゆきます。

雲の下の町の明かりがなんとなく分かります。
意外と順調です。ここまでは何も問題はありませんでした。

しかし、ここで問題発生。
七合目まで半分まで来た頃、ポツポツと雨が降り出しました。
レインウェアーを着るべきか否か?着ても既に汗でグチャグチャ。
でも結局レインウェアーを着て、再び登ります。
どうせ雨は今だけ。きっとすぐに止むに違いない。
何の根拠もないけれど、そう思っていました。
しかし、どんどん雨は激しさを増し、かなりの勢いで、レインウェアーを叩きます。

初体験の山小屋
22:50頃七合目3090mに到着。土砂降りになってしまいました。
さて、どうするか?雨が止む事を信じ、上り続けるか、ここにとどまるか?
とどまるといっても事前に連絡した時、山小屋はもう満員のはず!?

I-modeでレーダーを見たところ、雨は止みそうにない!?
こんな予報出ていなかったのになぁ…。
文句を言っても仕方ない。

山小屋に聞いたところ、雨宿りするスペースはないとの事。
しかし、素泊まり6800円を払えば、廊下でよければ泊めてくれると言います。

少し迷ったけれど、ここで少々ストップ。
素泊まりすることにしました。
計画を立てたときは、泊まれないと諦めていた山小屋、ひょんなことから体験できる事になりました。

1間(1m80cm)の幅の廊下に3人のごろ寝。
繊細な人には無理。図太く寝た者勝ちです。

12時や1時頃ご来光を目指し、出発する人がいるはずなのに、その日は、当然そんな人はいません。
結局、屋根を叩く雨音は朝まで止まず。無理して登山を続けなくて良かったです。

明けて翌日
朝は4時、5時頃に起床する人が多く、予約していた人たちの朝食の連絡が入ります。
外は雨が降ったり止んだり。

当然、山小屋では顔を洗ったり歯を磨く事は出来ません。
8時頃には予約客がほとんどいなくなり、
残ったのは、昨日予約無しで山小屋に飛び込んだ人たちばかりです。
ここで、諦めて下りるグループもいるみたいです。

どうするか悩むものの、なかなか踏ん切りがつきません。
高山病にさえなっていないのに、このまま下るのは、極力避けたい。
しかし、雨の中登山を続ける決心が付きません…。

再びうどんを食べる。
朝食を食べながら、山小屋のオヤジと話をしました。
皆さんは雨を警戒するけれど、怖いのは風なのだよ。
風が弱い今日は登山日和。雨具の準備があれば、問題ないとの事。
雨が降っていて、登ろうとしている先が見えない分、気持もはやることなく登山が出来るというものだ!と言われました。

なんだか、背中を押してもらったようでした。
朝食を終え、体制を整え直し、再び登山を続ける決心がつきました。

登山再開
8:50七合目出発。雨は降ったり止んだりを繰り返します。
でももう決心はつきました。頂上めざし登山開始。

まだまだ登ってくる人はいます 七合目出発
かすかに駿河湾が見えます やはり山頂方面は全く見えません

再びコツコツ上り始めたものの、足が重いです。

本七合目
9:50本七合目3200m到着です。

もう汗と雨でグジャグジャです そして再び登ります

ブルが資材を上げます

八合目

←10:22八合目3350m到着です。              

休憩後、再び上りだす時が、
最も辛い。
足も身体も重く感じます。

↓振り返るとこんな感じ。

本八合目・八合五勺
八合目を過ぎた辺りで、ちょっと頭が痛い気がする!?
来たか高山病!?
ゆっくり大きく息を吸いながら、ひたすら登っていきます。
休憩時には、折角だからと酸素カンを吸ってみます。
気のせいか、楽になるような気がします。
…ほんとかなぁ!?

10:50本八合目到着。
変な顔をして、疲れをごまかします!?
11:20八合五勺3450m到着
再び雨が激しくなってきました。

いよいよ大詰め
11:50九合目3600m到着。

九合目の鳥居 もう少し!!

ここまで来ると、ついついペースを上げたくなります。
気が急いてくるのです。

ところが、急いてくる気持を見透かしてか、
山道はここへきて、どんどん急になってきます。
胸突き八丁、這い上がると言う表現がぴったりです。

しかし、今回の登山では、金剛杖を購入し、焼印を押してもらい、記念にする事はしないで、
ストックをダブルで使う事にしていました。

九合目を超えると、ストックも役立たないと言っていた人もいたけれど、
個人的には、かなりストックを頼りに登って来ました。
コツコツと、リズムを刻む事も出来ますし、身体の安定を図ることも出来ます。
大きなギャップを登る時もかなり役立ちます。

なんだか、周りの人のペースも上がりがち!?
頂上が待ち遠しいのは、皆一緒なのですね!?

山頂

12:20いよいよ山頂到着。
長かった道のりも、
到達してしまえば、
呆気ないもの!?

汗と雨で全身グチャグチャ。
でもこの充実感は
たまらない!!

山頂の山小屋で、
味噌ラーメン&お汁粉。

折角予備のシャツを持ってきたので、
シャツを着替え、
ほんの少しリフレッシュ!?

体力は、意外と問題ない。お鉢めぐりを敢行しないまでも、
富士山頂郵便局まで往復しようかとも考えましたが、
山頂の山小屋の方に、今日のコンディションではお勧めしないなぁと言われ、意気消沈です。
確かに、無理をしても景色が見られるわけではないし。
ここはおとなしく、下山することにします。

下山開始
13:20下山開始。後はひたすら下るだけです。
これがまた辛い。

つづら折れの下山道をひたすら下ります。

14:50七合目を出発ここからが本格的な須走りに突入。
もう頭もグチャグチャなので、バンダナを巻き、
折角買ったスパッツを履き、須走りを下ります。

雨のため、マスクも必要なく、それほど埃っぽくなかったのは良かったのですが、
今ひとつ上手く下れません。乾いた須走りは一歩3mで、効率よく走り下れるらしいのですが、
残念ながら、そんな須走りは体験できませんでした。

須走り下山中

無事下山
…というわけで、17:00頃五合目に到着、無事下山になったわけです。

疲労困憊です。下りは辛いです。

五合目の山小屋のお兄さんから、
見ちゃいけないものを、見てきた顔してるよと冷やかされ、
下山終了!!

とにかく身体が臭いのですよ。汗と雨と涙と鼻水と…。
自分でも臭いんだから、他人はもっと不快だったでしょう。

そのまま、日帰り温泉へ直行!
富士眺望の湯ゆらり入湯料1000円(19時以降だったため)、タオル・バスタオル付きでした。
http://www.fuji-yurari.jp/index.php

もう既に暗くなっているし、雨が降っていたので、眺望の湯といっても、富士山は全く見られませんでしたが、
沢山の種類のお風呂があり、かなりいいお風呂でした。
食事もそこで済ませました。

隣接している「道の駅なるさわ」で、Pキャン。
愛車サーフの荷台で、バタンキュウでした。

8月10日
明るくなって、目を覚ますと周りには、結構キャンピングカーが停まっています。
この「道の駅なるさわ」は、Pキャンのメッカみたいです。

朝はほんのり富士山が見えました。 キャンピングカーが多く見られました。

翌日は、富士吉田にある、「富士山レーダードーム館」を見学。
http://www.fujiyoshida.net/forms/menugrouptop/menugrouptop.aspx?menugroup_id=139

富士山レーダードーム館

公立の施設なので、たいした内容ではにだろうと思い、期待していなかった分、かなり楽しめました。
特に中で放映されていたレーダードーム建設のドキュメントは、
NHKで製作されたもので、かなり見応えがありました。
入場料600円は、これを見るだけでも価値があると思います。
レーダードーム建設に携わった熱い男達につい涙してしまいました。
昨日自分も富士山頂に立っていたこともあり、感慨一入でした。

その後は、再び酷い雨。
今日はキャンプしようと思ったのですが、雨天を想定した装備ではありません。
地元のホームセンターへ行き、タープを購入しました。
これで雨が降っても大丈夫です!…多分。

夕方から、西湖畔の自由キャンプ場で、テントを張りました。
大人1人1000円。格安です!

夕飯は、キャンプ定番のカレーを作り、
何年ぶりだろう!?久々のキャンプナイトを楽しみました。

このキャンプ場のお隣に「富士西湖温泉いずみの湯」と言う日帰り温泉があり快適です。
http://www.lakehotelsaiko.jp/hotspa/

入浴料900円。夏季は23:00まで営業しているらしい。
お風呂まで徒歩3分!?車を運転しないので、ビールのみまくりです(^^)v

8月11日

 キャンプ場の朝は、
 爽やかです。

 犬の散歩をする人、
 既にウィンドサーフィンを楽しむ人、
 フォールディングカヌーを組み立て、
 親子で湖に漕ぎ出す人、

 なんだかかなり、いい雰囲気です。

今回の富士登山は、雨に泣かされ、
当初の計画通りには全く上手く行きませんでしたが、
正しい判断のもとに、無事登頂する事が出来ました。

富士登山には、
一度も登らぬ馬鹿…。
二度登る馬鹿…。
と言う言葉があるらしいです。

個人的には、二度以上登る人を、馬鹿だとは思わないけれど、
一度は登っておけという意味は良く分かります。
…まったく、それには同感です。

次回は、降ってきそうなほどの星と、ご来光を見ること。
そして剣が峰標高3776mへ行き、「日本のテッペンとったぞ!!」と叫びたいと思います。

富士登山のリベンジを誓い、
とりあえず、2010年夏の目標達成です!



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